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06/24
Thu

創業家物語 - 世襲企業は不況に強い / 有森隆 / 2008 / 講談社 / 東京・日本
CATEGORY:GOVERNOR

先日飛行機に乗る機会があったので、空港の書店に立ち寄ってみた。
旅には文庫サイズの本は本当にありがたい存在であり、今回も文庫版がリリースされた本書を購入した。

内容は日本企業でその創業家の影響が色濃く残るもの51社をピックアップし、1社あたり10ページ足らずの内容でテンポよくその物語を紹介するというもの。当然、それぞれの紹介には必ず家系図が添付されている。

企業の社会的責任(CSR)という考え方が日本に浸透するようになってから、コーポレートガバナンスを意識してか、企業がリリースするいわゆる「会社案内」における創業家の取り扱いが少々遠慮がちになっているように思う。特に、就職活動をする人たちが最も会社案内を見ているものと思われるとあって、企業には「会社は特定の人の所有物ではなく、広く社会に認められたものである」という立場をアピールしたいという狙いもあるのだろう。

私は仕事の関係上、その仕事を進めれば進めるほど、いわゆる日本企業の創業家の思想などに触れる機会が多くなる傾向にあることに数年前に気がついた。これは、プロジェクトが大きくなれば徐々にそうした企業に近いところ、または直接的に仕事をする必要があるためである。それ以降、それぞれの企業の今だけを見るのではなく、こうした歴史上のプロセスについても必ず知ることにしている。

企業は社会の一員であると同時に、そこにはやはり特定の考え方や支配的なカラーが存在するのだ。そして、それらは決して悪いことではないとも思う。というのも、漠然と「善処」することは私企業の社会的な目的には成りにくい。どこかの分野において、何らかの明確な目的を持たない限り、多くの人間を一つの目標に向かわせるのはほとんど無理だからだ。


就職活動をする学生の皆さんにとって「不況に強い」というテーマで会社探しをすることは自分の将来にとって非常に重要な問題となる。しかし、ここで考えていただきたい。不況に立ち向かうためであれば何でもするのかどうか。本来、仕事とはそういうものではないはずだ。自分が成し得たいことを直接当事者としてすすめていくこと。究極は一人でそれをすることなのだが、それが困難だから仲間といっしょにやるということになる。その仲間が会社であると言えるのではないだろうか。その点、自分の考えとの接点をこうした私企業のストーリーから探してみるというのもひとつのアプローチ方法ではないかと思う。



創業家物語ー世襲企業は不況に強い
有森隆
講談社
2009年8月20日(文庫版第1刷発行)
ISBN 978-4-06-281305-1