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09/28
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READING AUTUMN 20 / series 2009
CATEGORY:GALLERY

まずはじめに。私自身は喫煙者と非喫煙者を差別したりはしていません。また区別もしていません。重要なことはこの両者においてお互いを理解すること。
もう少し踏み込んで言えば、非喫煙者はタバコを吸う行為を行っていないのですから、喫煙者の皆さんはタバコを吸わない人々に配慮することが求められており、ここ日本においては実際に多くの喫煙者の方が非喫煙者の方に対してより配慮することが定着してきていると感じています。






原題 "Tobacco Explained"。1998年にASH (Action on Smoking and Health)によってまとめられたブックレットを新たに翻訳し2005年に第一刷が日本でリリースされたものだ。

ASHは1971年にRoyal College of Physcians(英国王立内科専門医会)によって設立されたロンドンに本拠地を置く健康推進団体。この本の内容はアメリカのタバコ関連の訴訟の過程で明らかになったタバコ産業の内部文書を基に作成された。(本書解説より)


さて『悪魔のマーケティング』。単純に嫌煙家に勇気を与え、愛煙家に注意を促し、タバコ産業の本当の姿を世にさらすという内容に見えるのだが、実際私が最も興味を持った事は、、タバコ産業で行われているマーケティング手法についてである。

「市場を創造・拡大する為にやれることは全てやる」。これが本書で紹介されているタバコ産業のマーケティングの基本姿勢だ。

これらを他の産業に置き換えてみれば理解できると思うが、例えば、あるカテゴリー製品市場を拡大するために「やれることを全てやる」ことは、そのカテゴリー製品産業に身を置くマーケターの至上命題である。



*混同すると大きな問題に発展するので、少し整理するが、タバコ産業は喫煙者を増やすために「やれることを全て」やっている。この善悪の判断とは別の意味合いとして、例えば、あるカテゴリーの製品を普及させるために「やれることを全て」やることは、実際に多くのマーケターが関わっていることであって、特にその善し悪しをここで問うものではない。



市場を創造し拡大することはマーケティングの仕事である。その手法として、例えばある製品の購買者が特定の年齢層、性別に集中していると判明した場合、マーケターはその年齢層を広げることを考えはじめ、また開拓されていない性別に向けた製品開発を行うはずである。


本書の内容に戻るが、タバコ産業の行っているマーケティングは他の産業が実際に行っているマーケティング活動のほとんど全ての手法を網羅しつつ、さらに、非喫煙運動や政府による規制に対してどのように対処するかと言う点で、「抜け目」がない。それらを通してみて見ると、マーケティングの基本的な手法はほとんどこの産業の模倣をしているようにも思えてくる内容とも感じられる。


私はマーケティングは人を騙すようなものであってはならないと考えている。マーケティングの目的は「気付き」であって、できれば、人々がより素晴らしいコトやモノに「気付く」ことをごく自然に促すようなものであるべきだとも思う。当然、イメージなどは重要な要素となるのだが、イメージで刺激を与えるだけではなく、そのイメージをも人々と共有できることがある意味究極のマーケティングとも考える。このような私が考えるマーケティングに対する概念は、この『悪魔のマーケティング』によって気付かされたことも多く、手法を駆使する「企て事」の連続では、人々を幸せにするマーケティングは達成し得ないとも思わされた一冊だ。



『悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実』
ASH - Action of Smoking and Health 著
切明義孝・津田敏秀・上野陽子 翻訳、解説
日経BP
2005年1月24日 初版第一刷発行
ISBN 4-8222-4342-7