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    06/21
    Tue

    初期型のイノセント
    CATEGORY:GALLERY

    私のガレージ、徳島のBIKELAB.Kで復活の日を待つスズキSGX-R750 (GSX750R/GR71F/1985)。「大衆を捨て、小衆をターゲットにする道を歩んだ」(出典:別冊モーターサイクリストNo.85/1985年10月号)同社の傑作プロダクトだ。





    当時の資料を紐解くと、この1985年当時というのは日本国内において栄華を極めたモーターサイクルブームは一段落し、事実1983年以降国内登録台数はそれまでの増加の一途から一変、現象へと転じ始めていた。さらに400ccを超える国産モーターサイクルは、輸入車へとシフトする層の影響を最も受ける一種力の入れにくいカテゴリーであったとされている。そこへ登場したのが、それまで一度もコンセプトとして存在しなかった、そのまま該当クラスのレースに出場できるだけの実力を持つクルマ。すなわちGSX-R750だったのだ。

    事実、1985年4月に開催されたル・マン24時間耐久レースでは、まんま市販車にキットパーツを組み込んだサテライトチームがこのGSX-Rで優勝するという快挙を成し遂げている。RZV500R(ヤマハ発動機/1984年)では当時の最高峰GP500には出場できないが、GSX-R750ではカテゴリーこそ違うもののTTF-1、世界耐久選手権に出場し、現実的に勝利を目指すことができたことが他のいわゆるレーサーレプリカとこのクルマの最も大きな違いと言える。

    さて、その背景からGSX-R750を考えてみたい。その素性は何よりピュアなこと。速く走ることだけを考えた割り切りの良さは、一般の製品として見た場合、このコンセプトに共感するかしないか?というはっきりとした答えをユーザーに求めてくる。そこには日常使いの便利さなどは一切考慮に入れない、思い切った使い方を最初から求めている乗りテでなければ理解できない共通言語が存在する。実際モノづくりをする側からすれば、好かれるか嫌われるかのどちらか。これはビジネスとしてモノを生産し、在庫を持って最終利益をあげようとする立場なら最も避けたい道の一つである。それよりもむしろ、「まあまあ満足」というところを狙った方がリスクが少ないからだ。

    結果的にGSX-Rは現在でも進化を続ける大ヒットプロダクトへと成長したが、私はその成功の最も大きな原動力として、この初期型に宿ったイノセント(無垢)なコンセプトが後々に影響を及ぼしたと考えている。プロダクトライフサイクルという考え方において、いわゆる初期型はそれまでに存在しなかった革新的なコンセプトを誰よりも早く受け入れるEarly Adopters(初期採用者)によって高利益を生み出す時期を過ごす。その後、市場のフィードバックを反映した2型(あるいは改良型)が発売される時期となるとEarly Majority(前期追随者。あくまで追随者だ)が購入を開始することによりより安定した利益を得ることが可能となる。しかし、その頃には初期のフィードバックが存在しないイノセントなコンセプトは徐々に市場の意見を取り入れることで生じる「ブレ」を伴うことになる。


    ただ、世の中の多くの人は改良を待つことが自分の身を守ることの手段の一つと考えている。初期型のエラーを回避することがあくまで「賢い」買い物と言う訳だ。

    私は頭からこの賢い買い方について否定はしない。ただ、人柱を利用するような冷静な買い物となる対象物は、多くの場合「買っても買わなくてもよかった」ものが多いのではないだろうか。そんな意味で、どんなものでも初期型(初めて世に出たモノ、コンセプト)にもし無条件であなたが反応する場合、迷う必要は無いと思う。なぜなら、そのコンセプトに共感した事自体、既にそのプロダクトが世に出る前から、あなたとその革新的なプロダクトの間にのみ存在する共通言語があった証拠なのだ。