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09/02
Wed

VESPA 50S Vintage / PIAGGIO & C.S.p.A. / 1963-1983, 1985-1996? / Italy
CATEGORY:GALLERY

顧客のVESPA 50S。成川商会(大阪)が日本向けだけに再生産させたリ・イッシューモデルである。これそもののが何年製だかはフレームナンバーなどを拝見していないのでわからないが、リ・イッシューとは言え、ノンレストア。オリジナル状態を保っている。さらに素晴らしいことは、とくにモーターサイクルやスクーターマニアではない、顧客のT君が普段の足として普通に使っていることである。


ちょっとかわったものを普段の生活で使う事はには、常に面倒なことがつきまとう。致命傷的な故障はVESPAの耐久性から言って起りにくいものの、普段の使用で何か変化を感じたら、購入したお店に顔を出す必要がある。

私はこのことを面倒なこととは思わない。プロがサッと調子を見てくれるし、何か異変があればそれを調整、修復してくれる。そしてその結果、さらにそのプロダクトの良さを発見することもあるし、なにより永く安心して使い続ける事ができると確信できる瞬間を味わうことができるからだ。それと忘れてはならないのは、お店の方とのコミュニケーション。いつもプロの話にはいろいろと気がつかされることがある。T君も恐らくそのように考えている。


ある意味「売りっぱなし」を促進する事につながった「メンテナンス・フリー」性能の追求の結果、エアコンやテレビなどの家電製品のように内燃機も人々に扱われるようになった。

メンテナンス・フリーを実現する技術開発は素晴らしい。しかし、メンテナンス・フリーが進めば進むほど、「壊れない」あるいは「調子が悪くならない」のは当たり前と思う人が増えたのだ。

私はメンテナンス・フリーとはそのプロダクトを造る側の良心だと捉えている。要らぬ心配を使用者にかけることなく、安定した性能を発揮し続けること。これをなんとか提供しようとしているのだ。本来この良心が理解できるとすれば、使う側も「大切に使います」という姿勢が求められる。しかし、どこかの時点でこの関係が崩れ始めたのだ。

本来、壊れないものを造り、壊れた場合は真面目に修理し、その再発を起さないようにいっしょに使用者と取り組む。この姿勢されあれば、プロダクトを巡る造る側と使う側の間にはもっと大きな信頼関係が生まれるはずである。


私はこの問題を考える時に、恐らく双方のこれまでの姿勢や考え方に大小様々な問題があったことが、現在のようなどちらかと言えば信頼よりも、不信が蔓延する世の中につながったと考えている。