THE WELBECK GALLERY

CONTROLHOMETHE WELBECK GALLERYDIARYPRODUCTSSHOPPING CONTACT

08/20
Thu

HB24 - Carol / Mazda Motor Corporation / 2004 - / Hiroshima, Japan
CATEGORY:GALLERY

実は若者もクルマが欲しいと思っている。

結構反響をいただく「レンタカーレポート」。今回は久しぶりにそのレポートをお送りできると考えていたが、借りた個体が昨年6月にレポートしたものと同じものだったので、今回は少し違う視点でお話をしようと思う。







「若者のクルマ離れ」。国内の自動車産業について暗い話題が多い中、国内需要を考える際に最近よく出てくるキーワードのひとつだ。

若者のクルマ離れを議論する際にその主な理由として、「若者の所得そのものの低下」や「ライフスタイルの変化」などがよく言われる。実際にそれらはデータによる裏付けも行われているために、今更これらを若者のクルマ離れの主な理由に挙げることには疑う余地はない。しかし、特にライフスタイルの問題からこの状況を分析する際には、どうも若者の本当の声や考えが調査をする側に届いていないように思えることもしばしばだ。

例えば、「若者はクルマ以外のものに興味があり、クルマを所有することに対する優先順位は低い」という分析について。確かにその意見には正しいことも存在する。しかし、実際に若者にクルマに対する意識を聴いてみると、「好きな時にどこへでも行くことの出来るクルマは魅力的だ」という答えも返ってくる。ただ、多くの場合、「維持費が払えない」などクルマを持つ事自体は魅力的だが、そのお金(主に維持費)が払えるかどうかが不安であるという意見が必ずセットになってついてくるという印象を私は持っている。

その他、そんな不安をかき消してくれるような魅力的なクルマが存在しないという意見もよく耳にする。

さらに聴けば、外見については既に諦めていて、その上で内装については「どれも同じ」という悲しいコメント。ということで、今回はその内装についてじっくり見てみる事にした。

女性が気軽に普段の足として使え、また愛車としての愛着を感じられるもの。おそらくこのキャロルの狙いはそこにある。機能は至ってシンプル。直感的に操作できるインターフェースは「気軽に使えて、余計な心配はしなくてよい」を実現している。さらにアーガイルのシートファブリックは「かわいさ」を演出。自動車のシートというよりも、お気に入りのイスという印象だ。

この必要最低限の要件をうまく整え、さらに大量生産できるようにしているのだから日本のクルマづくりはすごいの一言だ。

ただこれら全てはエモーショナルに響くものかと言えば、疑問が残る。言ってみれば「うまく仕上げた」という感覚であり、「これはいい!」と感じさせるだけのものでは残念ながらないのだ。

最近のコンテンポラリー系の住環境(例えば、デザイナーズマンションと呼ばれている無機質な空間)のように出来るだけベースとなる提案をシンプルにして、あとは「あなた次第」というアプローチも可能だとは思うが、根本的に全てを変える必要が最も求められているようにも思う。

もちろん、公道を走るクルマとして様々な基準をクリアする必要はあるが、その上で、可能な限りの革新的アプローチが求められている。おそらく、そのアプローチとは、例えば「これでどうやって運転するのかわからない」というレベルのものだろう。成熟した産業においては、常にこうした革新が新たな産業の歴史の幕開けにつながる。

そう考えれば、若者のクルマ離れは成熟した自動車産業の新たな1ページを開くきっかけになっているとも言える。