今年も7月末で1ヶ月間に渡った祇園祭が無事に終了した。
観光でこの祭りに来る人にとっては宵山と山鉾巡行を中心とした数日間だけが、いわゆる京都の祇園祭であるとの認識があるかもしれないが、祭りそのものは7月いっぱいがその期間その間様々な行事がある。さらに言えば山や鉾を運営している人たちからすれば、毎年7月を中心に1年中常に祭を意識していなければならない。
そんな気持ちが乗り移っているのかも知れないが、京都市内を普通に歩いていても、祇園祭の頃のことが残像として頭をよぎるような事がある。
写真の場所は御池通から新町通を南に見たところである。いわゆる普通の交通規制は南側から北向きの一方通行。しかし。山鉾巡行で山鉾はこの通りを南へ下る。
四条からスタートして、河原町、御池とまわってきた山鉾はこの新町御池の交差点からそれまでの道路とは道幅もかなり細いこの新町通へと入って行くのだ。写真に注目していただきたいのは、この通、電線が道路を横断していない。たまたま祭りの設えが残っているので、電柱のトランスなどが防護ネットでつつまれているが、この界隈で電線が横断しておらず、すっと京都駅ビルくらいまでが見通せる通りはこの新町のみである。
京都は全てのスケールがクルマではなく、人を中心としてつくられている。それもあって日本のどこにもない独特な都市感があるのだが、こうした電線と電柱の配慮のひとつをとっても、それが何を意識しているのかがその瞬間にわかることが普段から面白いのだ。