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    Thu

    DIGITAL CAKE MOULDS / suck uk / 2010 / London, UK
    CATEGORY:GALLERY

    昨年暮までクリスマス商戦で少々疲れが見えてしまっていたsuck ukから久しぶりに新しいプロダクトの案内が来た。詳しくはwww.suck.uk.comでお楽しみいただきたい。


    あまりに簡単においしいケーキができてしまうパンケーキミックスは思うように売れなかった。これは、現在から二世代、いや、数世代前の話である。このあまりに簡単なパンケーキミックスの話は、ケーキを焼くという行為において、その手間を省きすぎると逆に「ケーキを作る楽しさ」を消費者から奪うことになるという話。すなわち、パンケーキミックスは「家庭で手軽においしいパンケーキ(ホットケーキ)が楽しめること」をうまくパッケージングしているプロダクトではあるが、そこには購入者が実際にパンケーキを作るプロセスにも配慮したプロダクト創りが必要であることを示唆している。

    時は流れて、現在では再びちょっとだけ手間のかかるパンケーキミックスが再び市場で注目を集め始めているという。何でも電子レンジで「チーン」というモノから少し前の「ちょっと手間をかける」モノへ消費者の好みが移っていることがその理由だとか。

    これはプロダクトづくりにおいて非常に面白い話である。要点を少しまとめれば、この問題は「おいしいものが食べれればよい」ということから「どうすればおいしく作れるか」というニーズの変化を物語っていると同時に、そのニーズに気付き、どうやってそのニーズに応えるかを造りテに問うものである。

    「おいしいものが食べれればよい」とするニーズには、いかにおいしくするかや、しかも、不特定多数の人間が、それぞれ異なる環境で作ったとしても最終的には同じようなおいしさに仕上がることを目標にしなければならない。その点、電子レンジで調理をすることを先に設定した場合、調理そのものは非常に均一な条件で行われることになり、あとは、原料を水や卵と調合する際のことだけを考えればよいことになる。すなわち、電子レンジ調理前提であれば、かなり均一な味を提供することが可能となるのだ。そして、これは同時に調理時の失敗の可能性を少なくし「おいしいもの」を提供する上においてかなり有利な条件となる。

    それに対して「どうすればおいしく作れるか」のニーズを満たすためにはよりエモーショナルな工夫が必要となる。例えば、基本的な説明はパンケーキらしきものができるまでの説明をごく簡単にまとめるだけにとどめる。その上で「工夫すれば」や「ちょっとだけ手間をかければ」というアドヴァイスをうまくする必要があるのだ。では何か一体エモーショナルなのか?

    例えば、こういうのはどうだろうか。パンケーキの理想的な仕上がりについては人それぞれその理想が異なっている。ペっちゃんこにならないことや、絶妙な焼き上がりなど。例を挙げればそれこそ人の数だけ理想が存在する訳だが、全員が一体何を求めているのか?これをデータ化し、傾向を探る前に人にはそれぞれ理想が存在するということに配慮することが重要なのだ。これは十分エモーショナルな仕事となる。

    ということで、また長文になってしまったが、肝心のプロダクトについて。
    このケーキのカタはシリコンでできている。それを電子レンジで調理できるということが、(通常、電子レンジで調理するには金属のカタは使えないので、金属以外の素材を使わなければならない)驚きを誘う。それは、伝統的なケーキのカタは金属製であること、さらに伝統的な調理方法はオーブンを使うという事から来ている。どのような着想とプロセスをもってこのプロダクトができたかは不明だが、いかにもsuck ukらしい「最初は疑わずにはいられない」プロダクトであり、結果的にイノベーションの早期採用者を狙うモノとなっている。