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    さよなら怪人。
    CATEGORY:2016

    関学社会学部(愛称:シャガク)出身、塩田武士の『罪の声』を読んだ。
    とんだ格好で私のグリコ森永事件は私の中で終わった。

    多感な時期に自宅から数百メートルのところで発生した事件だった、グリコ森永事件。1984年3月の事だった。

    その30年以上前に発生した事件をベースにした小説の広告を銀座線で見かけ、アマゾンで注文。本は1日で届き中身は2日で読んだ。読み終わって、

    「さよなら怪人」

    という言葉が自然と口から出た。



    「けいさつ新春かるた」に象徴される挑戦状と企業に直接送られる脅迫状。それらの仕組みが解明され、フィクションとは言え犯人グループの姿が明らかになる。そんな話を一気に読むと、

    「なんやこんなんやったんか」

    という気になった。

    その一番の理由はこの事件自体が所詮「カネ」と「メンツ」が動機になっているようなものだと思ったからだ。

    ここ最近はなんでも均一化された世の中になり、全ては何かのモデルが存在しているような錯覚を覚える。その最たるものがイオンモールなのか、ユニクロなのか、例を挙げればキリがないが、それに対してライフスタイルなんて幻を掴むような話が存在したりして、とにかくとんでもないことが起こってもその原因を探ることは人が関与している限りなんとなく予想できるようになった。全てが腑に落ちる。説明できないことが異様に少なくなったのだ。

    それに対して、日本が貧しかった時代から均一化に乗り遅れた人達が存在した時代は人が関与している話でも説明がつかない話が多かったように思う。
    そして犯行におよんだ人にはとんでもないストーリーがあった。そう、普通ではない話がよく存在したと思う。

    自分にとってグリコ森永事件は自分が想像もできないようなストーリーを持った人達によって引き起こされた事件で、想像もできないようなカタチで終結したと常々認識してきた。終結宣言をして闇に消えた怪人。そのエンディングもその想像を超えた部分の説明を省くために考えられたものとも思っていた。


    きっかけは何であれ、カネ目的の組織犯罪であり、警察のメンツを丸潰しにした。全然普通の話であって、劇場型犯罪なんて言うに値しないような普通。
    そんな普通の「怪人」にさよならを言う瞬間がこんなに簡単にやってくるとは思っていなかった。


    事件はまだ未解決のままであり、その凶悪性を考えれば決して犯人を許すというわけにはいかない。

    ただ、こうして自分の中でのこの事件は発生から31年を経過した2016年に終わりを告げた。


    さよなら怪人。